「ハイドロゲン」

「はい」

「この子がお前の妹だ。起動せよ、ボロン」

ハイドロゲンの時と同様にボタンを押す

すると「005」と書かれたボックスの扉が開き女の子が現れた

そして静かに目を覚ます

「おはようございます。お兄ちゃん」

「ああ、おはよう」

「おはようボロンちゃん」

「おはようございます。ハイドロゲンお姉ちゃん」

「ボロンはハイドロゲンの様に前線で戦う事はできないからここで僕等のアシストをして貰う事になる」

「分かりました。コンピュータには強いですから」

その会話の途中ハイドロゲンは周りの箱の中で唯一起動している隣の箱が気になっていた

「ところで隣の「006」と書かれている箱は・・・」

「ああ、あの中にいるのはカーボン。今は最終調整中でもうすぐしたら出てこられるよ」

「また女の子なんですか?」

「ま、そうなるな。男の子で作ろうともしたのだけど、どうしても不安定な部分があるから女の子だ」

「そうなんですか・・・」

「ハイドロゲンは弟が欲しいのか?」

「いえ、そうとは言いませんが」

「お姉ちゃん、心配なさらずに。カーボンは結構男勝りですよ」

「『心配なさらずに』って言っても女の子には変わりないぞ・・・それに何でボロンにそれが分かるんだ?」

「何ででしょう?でもそんな気がするんです」

ボロンは首を傾げながら言った

 

「おっとさんの為ならエーンヤコーラ」

「おっとさんの為ならエーンヤコーラ」

そう言いながらハイドロゲンと二人で畑を耕していた

「でも作ってくれた人がお父さんだとするとお兄ちゃんがお父さん?」

「ま、そうなるな」

「じゃあ、『お兄ちゃんの為ならエーンヤコーラ』っと」

ハイドロゲンは楽しそうに耕していた

その時サイレンが鳴りボロンの声が聞こえた

「緊急指令、採掘場跡ニュートリノン出現」

「よし、行くぞ」

「はい」

いつもの様にトラックに乗って採掘場跡へと向かう

 

「フッ、フッ、フッ、ここで石炭を採掘して我々の施設の燃料とするのだ」

「シャー」

「ミミズーン、お前には期待して居るぞ」

「ラジャー」

ミミズーンはそのまま土の中に潜っていった

「この中か・・・」

採掘場跡に着いた二人は新しく空けられたと見られる洞窟の入り口にいた

「この近くには水庭がないから無駄な弾は撃つなよ」

「了解」

そして通信機を使って司令室と連絡を取る

「ボロン、カーボンの最終調整が済んだらすぐに起動して出動させろ」

「了解しました」

「よし、行くぞ」

そう言って二人は洞窟内に入っていった

「ちょっと薄暗くて怖いです」

「そうだな」

「それにしても何でカーボンを起動後すぐ出動させるのですか?」

「ここは石炭の採掘場だったらしいからな」

「石炭の採掘場とカーボンと何か関係があるのですか?」

「良い所に気付いたな。それはお前達全員が元素をコアとして作られているからだよ」

「元素ですか?」

「ああ。ハイドロゲンは水素、ボロンはホウ素、そしてカーボンは炭素のコアが使われている」

「水素ですか・・・」

そう言ってハイドロゲンは自分の胸の辺りを見る

「そしてお前達の力は周りの環境によって強弱がある。例えば水が近くにある場合は水素が十分あると言う事。だからお前はその水素を吸収して自分の物にする事ができる」

「はい」

「逆にこんな洞窟内だと水が少なく色々と弊害が起こる」

「弾数が限られると言う事ですか?」

「ま、ハイドロゲンの場合は武器が銃だからそうなるな」

「妹達だとどうなのですか?」

「ボロンは自然界にあまり存在していないから戦闘には不向き。カーボンは大気中や土中に多く含まれているから基本的に強い」

「じゃあ、カーボンの起動を待った方が良かったんじゃないですか?」

「確かにそうかも知れない・・・だが悪事を見過ごす訳には行かない。だから出来るだけ戦わず偵察してカーボンを待とう」

「了解」

 

そんな会話を続けながら歩いていると洞窟の向こう側が明るくなっていた

「良し。ここで待機だ」

そう言ってポケットから小型のネズミロボットを出す

「これで何をしているか分かるぞ」

そう言ってロボットを明るい方へ走らせる

「どうやら石炭を採掘して燃料にしようとしているらしい。そして向こう側には搬送用出口・・・と言う事は向こう側に基地があるのか?」

偵察は順調に進むかに見えた次の瞬間

「キャー、ネズミー私、ネズミだけは駄目なのよー」

クラリスの悲鳴が聞こえてきた

「ミミズーン、あのネズミを倒しなさい」

「ラジャー」

そう言ってネズミはミミズーンに叩かれ壁に激突し爆発した

「ネズミが爆発?」

「しまった、気付かれた」

「そこか『アトムズ』」

「気付かれたら仕方がない。ハイドロゲン、待避だ」

「了解」

そう言って二人は逃げ出した

「来るだけ来ていきなり逃げる気か!」

クラリスとミミズーンは二人を追ってやってきた

何とか途中までは戻って来られたが地中からミミズーンが現れ道は塞がれてしまう

「ここまでだな、今日こそ倒してやる」

「仕方がない・・・ハイドロゲン、ハイドロガン」

「甘い」

ミミズーンはハイドロゲンが構えると同時に地中へ潜っていった

そして様々な所から現れてはハイドロゲンを攻撃する

「くそっ、もう弾切れが近い」

「フッ、フッ、フッ、今回は前回とは違って水なんか無いからな。さあ、やってしまえ。ミミズーン」

その言葉と共に上からミミズーンが現れたがその瞬間落盤が発生

「ちっ、穴を掘りすぎたか」

そのごクラリスの上に大量の土砂が降ってくる

「キャー」

「危ない」

「お兄ちゃん!」

ハイドロゲンの言葉も虚しくクラリスと二人土砂の向こうへと姿を消す

「お兄ちゃん、大丈夫?お兄ちゃん」

しかし返事は帰ってこない

「男の心配より自分の心配をした方が良いんじゃないか?」

「貴方だって司令官が埋まっているのよ」

「俺はどうも女に使われるのが嫌いでね。これで二度と出てこない方が都合が良いんだよ」

「貴方って人は・・・」

「いや、待てよ。ここで助けた方が俺の株も上がり幹部に昇進って事もありうるな・・・じゃあ、助けるか。但しお前を倒してからだ」

「キャー」

ハイドロゲンはハイドロガンを撃つがあまり威力がない

「これで最後だ!」

そう言って体を使って叩こうとするが

「ハイドロ姉になにしやがる」

後から叫び声と共にミミズーンの腹に強烈なパンチを入れた

「ぐわっ」

のたうち回るミミズーン

「ハイドロ姉、大丈夫?」

「もしかしてカーボンちゃん?」

「ああ、今起きた所だ。で、兄さんは?」

「この土砂の向こうだと思う」

「それじゃあ早く助けに行かないと・・・」

そう言ってカーボンは土砂に向かってパンチを繰り出そうとする

「待ちな、嬢ちゃん。俺の腹にパンチ入れるとは良い度胸してるじゃねぇか二人とも纏めて倒してやる」

ミミズーンはこちらに向かって体当たりをしてくる

「ここで戦う事になった事を後悔するんだな」

そう言ってカーボンの腕はダイヤモンドのようになっていった

「食らえ、ダイヤモンドクラッシュ」

カーボンは一撃でミミズーンを真っ二つにした

「モグラーンに食べられるよりはマシだったな・・・」

そう言ってあと大爆発した

 

「貴様、何故助けた?」

「助けるのに理由なんか無い」

土の中でクラリスを庇うように助けている

「フン、礼は言わないからな」

「それにしても近くて見ると案外美人なんだな」

「な、何を言うか。貴様」

「それにこの香水・・・案外いい歳食ってるんじゃないか?」

「失礼な、私はまだ十八だ!」

「じゃあ、もっと若い子がする香水しないとな」

「何で、貴様にそんな事言われなきゃならんのだ!」

「このまま死ぬ可能性もあるから、俺も男だしどうせなら可愛い子を庇って死ねたら本望だからな」

「可愛くなくて悪かったな」

「誰も可愛くないとは言ってない。ただ俺の方が年上なんだからもうちょっと敬えよ」

「何で敵にそんな事言われなきゃならんのだ・・・」

「別に俺はお前達が憎い訳じゃない。ただ地球征服を阻止する為に戦っているだけだ。だから地球征服なんか止めれば戦う事なんて無くなるハズだ」

「・・・」

黙るクラリス。その直後土砂が崩れる

「うわっ」

「きゃっ」

そして次の瞬間クラリスとキスをしている自分が居た

「お・に・い・ち・ゃ・ん」

「に・い・さ・ん」

そして聞こえるのはハイドロゲンとカーボンの声

「何で敵の司令とキスなんかしてるんですか・・・」

「せっかく私が助けに来たというのに・・・」

「待て、二人共。話せば分かる」

『問答無用』

「うぎゃーっ」

ハイドロゲンとカーボンに叩かれる

その間クラリスはキスされていた事に戸惑っていたが今の状況に気付く

「わ、私は地球を征服する事はあきらめないからな」

顔を真っ赤にしながらそう言って去っていった

「待て、クラリス」

「お兄ちゃんはまだ話が終わってない」

「私だってその・・・して貰いたいのに」

「いや、だから事故なんだよ。信じてくれ〜」

こうして今日の戦闘は幕を閉じた